コーヒーゼリーと傘
コーヒーゼリーがほろ苦いのは
思い出がほろ苦いから
同時に浮かぶ深緑色は
お気に入りの傘の色
充実とはかけ離れた忙しさの毎日
癒しの時間はコーヒーゼリー
コンビニの安いやつ
それもたまに
プラスチックの小さなスプーン
真っ白なミルクが滲んで
コーヒーゼリーと混ざり合う
バス通りはいつも賑わい
小さくお洒落なケーキ屋さんは
秘かな憧れで
店先を通り過ぎるだけ
ある日突然
好きなコーヒーゼリーが
全く食べれなくなって
見るのも嫌になった
いろんなものを一気に失くし
バスにも乗らなくなった
傘も
失くした
再び笑えるようになって
やっぱり好きなコーヒーゼリー
傘の色は変わったけど
チェックの柄がお気に入り
時々思う
コーヒーゼリーがほろ苦いのは
思い出がほろ苦いから