ひなまつり
あの娘の綺麗な着物が羨ましくって
綺麗ねって言いながら
心の陰で泣いていました。
あの娘の可愛い着物が羨ましくって
可愛いねって言いながら
心の陰で泣いていました。
着物なんか嫌いと言いながら
本当は一度でも着てみたくって
心の陰で泣いていました。
甘いお菓子も優しい花も
なんにもなくって
だからこそ欲しくって
心の陰で泣いていました。
心の陰の涙は淀んで
とても醜い水溜まりになって
足元から私を傷つけていきました。
嘘だらけの唄が
この身の惨めさに拍車をかけて
心の陰で泣いてしまいます。
何年経っても。
今でも。