別に
今度は失敗しないでね
君は嘲笑う
大丈夫さ
今度こそは
僕は言う
乾いた声で言う
今まで見たどんな君よりも
今の君が一番綺麗
それが哀しくて
今までありがとね
君が言う
別に
僕が応える
精一杯応える
また君が嘲笑う
乾いた声で嘲笑う
それ誰だっけ
女優でいたよね
こんな時でも君は変わらず
天真爛漫にいるから
それが切なくて
さよならじゃなく
ありがとうって言った君が
とても素敵で
それが苦しくて
他の選択を今更探すけど
間に合わないことは知っている
これからやって来る僕の人生の
後悔も懺悔も知っている
目を閉じた君の長いまつ毛
きゅっと上がった口角
相変わらず綺麗だ
透き通るような白い肌も
ますます白く透明になって
愛おしい綺麗な君の細い首に
最後に触れるのが僕の手なら
僕の手なら
それは悲しみじゃなく
光栄であると
そうだよね
君はそう思うんだよね
そのまま目を閉じててね
僕の涙を見ないでね
次々と浮かぶ言葉は
発せられることはないまま
ね、私のこと好き?
君が訊く
別に
僕は応えた