とんぼと葡萄と
怠い体を持て余しながら
這うように起き出しても
何をするでもない
見上げた空は雲が多く
とんぼが飛行していて
秋だなって思った
冷蔵庫にある葡萄を思い出しても
それを食べる元気はない
観るでもなくつけたテレビは
雑音と人の声がするだけだけど
なんとなく安堵して
ただそれだけで
それ以上にはならない
夕べ何していたんだっけ
あぁそうだ
あの人の不機嫌に付き合って
寝よう寝ようって思いながら
やっぱりあの人が気になって
布団に潜り込んでも眠れずに
脳に悪いと言われている明るい画面を見て
だから眠れないんだなって考えながら
ストンと眠っていたんだ
俗説なんていい加減なものがほとんどで
それらに振り回されてる人ほど
真面目な人が多くて
健康に気を遣いながら
不健康な毎日を送ってる
そんなに色々やっていたら
とっくに健康でいるはずなのに
病気だってなんだって治っているだろうに
日々進歩している医療も追いつけないくらい
人々は皆病んでいる
何でも出来る手を持って
何にもしない日を送り
恵まれた環境を嘆きながら
自分より可哀想な人を見つけては
同情して自尊心を保とうとする
あぁほらね
またこうやって
色々と面倒な事考え始める
もう止めよう
さっきのとんぼ
何処に行っただろう
葡萄はいつ食べよう
観たいテレビはないけど
人の声に安堵している
今日はそれだけで充分