二本線
あの二本線がなければ
もっと全部
丸ごと全部
私のものになるのに
それでも私は
いつものこの場所から
深く深く呼吸をして
ずっとずっと眺めている
あの頃となんら変わりなく
あの時も一人で見ていた
でも、いつもあなたを感じていた
全てがあなたのために生きていて
この美しい世界は
二人のためにあるって
疑うことはなかった
あの二本線さえ
気にもならないくらい
私はあなたに夢中だったから
それだけで幸せだった
今は随分我が儘になって
あの二本線が邪魔で
忌々しく眺めているけど
心のどこかでは
きっと
それをも含めて
私のものなんだと
諦めに似た境地で
いつものこの場所から
相も変わらず眺めている