不気味
浅い所で沈んで
このまま息をしなかったら
思い通りに死んだんだろう
急に空気が欲しくなって
馬鹿なあたしは起き上がっちまった
全身ずぶ濡れの女が
髪から服から水を滴らせ
歩く様は通常じゃないはずだけど
誰も何も言わない
言わないかわりに凝視してる
あたしも黙って歩いている
行く当てなんてないけれど
乾いた歩道を湿らせながら
無言のカメラの被写体になってた
その写真どうするの?
あたしは何も許可してないよ
貰ったいいねはアンタの手柄?
別にあたしはそんなの欲しくないけど
死にかけのあたしより
平気でカメラ向けてくるアンタらのほうが
不気味だわ
こんな不気味な世の中で
愛なんて曖昧な物信じようとしてた
どこかにまだありますか?
こんなあたしだけど
こんなあたしだから
やっぱり愛が欲しいです