Voice of the heart

綴ってます

前へ


大好きだったあなたの声
聞き間違えるはずがない


話し方もトーンも
あの頃のまま変わらずに


違うのはあなたが呼ぶ人
私の知らないその人


心が揺れなかったわけじゃない
だけどもう終わったこと


また雨が降るね
でももう夏だね


季節は確実に移りゆく
私の心もゆっくりと


前へ

邪気


自分でも分かっていない涙の意味を
探るため
泣き腫らした目で
朦朧とする思考で
のっそりと這い出して
窓を開けた


そこにある景色は何も変わらない


何も変わらないはずなのに
見る者の意識が違うだけで
初めて見る景色のような
はたまた懐かしい景色のような


変わってしまったのはあの人の心


引き留める魅力など私にはなくて
逆怨みで狂っていった
どうせなら呪ってしまえ
全てを破壊するほどの


そうして変わっていくのは私の心


止める術もなく寧ろ加速していく
知りたかった涙の意味さえ
もうどうでもいいほどの邪気


泣き腫らした目で
朦朧とする思考で
のっそりと這い出して
窓を開けた


この世界を呪ってしまえ

七夕ノワール


ロマンティックな夜だけど


何の願いもありゃしません


だって今夜も独りきり


戯言だけが泡になって


一気に飲み干してみたけれど


酔えるわけない甘いノワール


離れ離れの二つの星が


一つになるわけないのに


何を呑気に騒いでいるの


サラサラ流れて辿り着くのは


消えるのを待つだけの荒地の星


最後だけは見送るわ


暫くさよなら甘いノワール

怪文書


見ず知らずの人からの手紙は
ただただ私を混乱させた


この既視感はなんだろう
意味の分からない怪文書に似ている
この感じ




あれは確か二年前の手紙だった
あの時私は返事を書いた


次第に送られてくる手紙は
怪文書へと変わっていき
私は返事を書くことを止めた


哀しく止めた


思い出したのは
あの感じ




不思議な感覚を覚えつつ
私の返事も怪文書になるのなら


これが最後になること願う



あなたが私を知っているか否かなど
私には知りようもないし


ただ言えるのは
私はあなたを知りません


知る必要も興味もない




痛々しいほどの必死さを滲ませた手紙は
ただただ私を困惑させた

全部がフィクションノンフィクション


貴方のお好きなように解釈してね


私の心で感じたモノを


貴方の心で感じるのなら


それが嘘でも本当でも


そんなのどうでもいいじゃないの




全部がフィクションで


全部がノンフィクション




素晴らしいと言ってくれたことには


素直に「ありがとう」を言っておく


貴方の欲しい答えじゃなくても


私はちゃんと応えたわ




すべてが始まったこの場所で


すべてが詰まったこの場所で


私を見つけてくれて「ありがとう」