名を付けるのならば、
思い出の、それは桜
あなたと過ごした短い期間
毎夜あなたを待ちわびて
不安とときめき
この胸に抱えていた
春の嵐は本当に残酷で
どんな抵抗も無駄なことは
経験上知っていたけれど
それでも無力なこの手を伸ばした
思い出の、それは雨
感情と理解は不安定で
流れていく時間を止めたかった
ただ止めたかった
不可能だからこそ憧れて
私は恋に堕ちた
さよなら、言えなかったから
さよなら、言わなかったから
まだ私は、あの春の
桜の雨の中にいる
あなたを待ちわびて
ひとり
また桜を見送る
思い出の、それは涙