代償
愛を絡める代わりに
私は
シーツの端っこを
握り締めていた
その私の指に
あなたが手を伸ばして
触れ合った瞬間
呆気なく指がほどけて
あなたの手に
悦び絡まって
熱く滴る蜜と共に
私は堕ちていく
何処へ
夜へ
一緒に堕ちてと
そう願うのに
あなたは昇っていく
何処へ
天へ
二人向き合っているから
それぞれ違う行き先
後ろから抱きしめられたら
同じ場所へ行けるかな
あなた声がいつもより甘くて
その響きだけで
また堕ちる
何処へ
泉へ
あなたの声に
甘く応えたいのに
言葉にならない上擦った声で
息をするのがやっと
私は
堕ちながら
掴める何かを捜す
生きているのか
もう死んでいるのか
それさえ曖昧になる
どうせ堕ちるなら
朝が来る前に
何処へ
獄へ