わすれもの
風の温度が変わって
午後になったと気付く
空は益々蒼く
花壇の花が
もう夏は終わったよと云う
それでも
置き忘れてきてしまった何かを
どうしても諦めきれず
気ばかり焦る
泣きながら眠ったのは
明け方のこと
貴方のことを忘れて眠った
眠った
眠った
眠った
目が覚めたような
まだ夢のような
微睡みの中で
聴こえたのは
貴方の声
懐かしくて
恋しくて
愛しい
忘れえぬ貴方の声だった
あれは確かに
この蒼い蒼い空を見上げて
秋風を頬に受け
どうしようか迷う
戻れない夏
その前に
私はまだあの雪の中にいる
心は貴方に預けたまま