Voice of the heart

綴ってます

豪雨の中の主人公達


豪雨の中



雨宿りする僕


傘も差さずずぶ濡れの彼女


無意味な傘を握りしめ震える彼



途方に暮れ止まない雨を呪う僕


何があっても目的地に向かう彼女


手段はあっても気弱なままの彼




誰が正解とかは一切なくて


誰もが皆主人公


誰かが誰かを嗤っても


誰もが誰かを責められない


誰もが皆主人公




だけどね


僕は羨ましかったよ


勇敢な彼女も


繊細な彼も


傍観者の僕は


彼らがとても羨ましかった




ひとしきりの豪雨の後


彼女も彼も僕と同じように


一瞬の虹を見ていたらいいな


そう願った

非情で残酷な熱帯夜の現実


失ったものを
何かで埋められるわけもなく


失ったものの
代わりさえあるはずはない


それでも探している


無意識に情けなく


 


当然そんな僕に
何の魅力もあるわけはなく


君が離れていった理由を
否応なく見つけてしまった


認めたくはないが


無意識に情けなく




抗いようがない現実は
いつだって非情で残酷


この熱帯夜に容赦なく


夢さえ熱に溶かされていく

前へ


大好きだったあなたの声
聞き間違えるはずがない


話し方もトーンも
あの頃のまま変わらずに


違うのはあなたが呼ぶ人
私の知らないその人


心が揺れなかったわけじゃない
だけどもう終わったこと


また雨が降るね
でももう夏だね


季節は確実に移りゆく
私の心もゆっくりと


前へ

邪気


自分でも分かっていない涙の意味を
探るため
泣き腫らした目で
朦朧とする思考で
のっそりと這い出して
窓を開けた


そこにある景色は何も変わらない


何も変わらないはずなのに
見る者の意識が違うだけで
初めて見る景色のような
はたまた懐かしい景色のような


変わってしまったのはあの人の心


引き留める魅力など私にはなくて
逆怨みで狂っていった
どうせなら呪ってしまえ
全てを破壊するほどの


そうして変わっていくのは私の心


止める術もなく寧ろ加速していく
知りたかった涙の意味さえ
もうどうでもいいほどの邪気


泣き腫らした目で
朦朧とする思考で
のっそりと這い出して
窓を開けた


この世界を呪ってしまえ

七夕ノワール


ロマンティックな夜だけど


何の願いもありゃしません


だって今夜も独りきり


戯言だけが泡になって


一気に飲み干してみたけれど


酔えるわけない甘いノワール


離れ離れの二つの星が


一つになるわけないのに


何を呑気に騒いでいるの


サラサラ流れて辿り着くのは


消えるのを待つだけの荒地の星


最後だけは見送るわ


暫くさよなら甘いノワール